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【ドラマ】カルテット 第4話 感想

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前回の感想はコチラ。

第4話あらすじ(TBSより引用)

諭高(高橋一生)が好きだと言っていたにもかかわらず、突然司(松田龍平)にキスをしたすずめ(満島ひかり)。それぞれの秘密が明らかになるとともに、少しずつ恋模様も進行していた。


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ハイライト

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開幕からめちゃ面白い。
季節で分けましょう、春、夏、秋のテンポ感も最高です。

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真紀の小さい声も再登場。
カルテットメンバーには心を許しているんですね〜。

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明かされる諭高の過去。
妻子がいたり、宝くじで高額当選していたりと濃厚。
「結婚ってこの世の地獄ですよ」
「妻ってピラニアです」
「婚姻届は呪いを叶えるデスノートです」
などと『最高の離婚』の光生を連想させるようなワードもちらほら。

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諭高が茶馬子の居場所を話さなかったのは息子を思ってのことでした。

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横須賀だけに『横須賀ストーリー』。
小ネタを忘れない坂元裕二です。

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自身のクセから子供の成長を感じる諭高。
離婚届に判を押した後の、共に生活をしていない時間が、この空洞、溝を徐々に広げていくのでしょうね。

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アジフライにウスターソースをかけることを選ぶ諭高。
何気ないシーンですが、大事なシーンです。

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『最高の離婚』にも似たセリフが出てきましたね。

結夏:夫婦だったら子供作って当たり前とか、愛情なくなった夫婦つなげるために、子供作るとか。
そういうのは違うと思う。



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結局はこれに尽きます。
この話は4話の核となる話なので、後でまとめます。

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いい人ですね。
茶馬子に、諭高が居場所を喋らなかったから痛い思いをしたんだなって悟らせる効果があります。

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最初で最後の親子の演奏会、なのかな...。
諭高が光大を見つめる目はあまりに優しすぎました。

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選択できなかった未来、選択しなかった過去を想う諭高。
諭高が弾いていた曲はYann Tiersenの『La Veillée』。
フランス語で『夕食後の団欒』という意味です。

明示的に語られていない気がしますが、
"家族はどれだけ同じご飯を食べたかで決まる"
といったカルテットの裏テーマがここからも透けて見えます。

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財布の中身をみて口止め料を上乗せする有朱。
お金目的というよりかは破壊目的(クラッシャー)なんだと思います。

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諭高がカラオケボックスにいたのも偶然ではありませんでした。
夫をベランダから落としたという話を真紀の夫から聞き、
光大を取り返すためのお金を真紀からゆすろうとしようとしたためです。

真紀を信じかけてたすずめはまた翻弄されます。

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あなたといると2つの気持ちがまざります。
楽しいは切ない。
嬉しいは寂しい。
優しいは冷たい。
いとしいは...虚しい。
いとしくていとしくて虚しくなります。
語りかけてもさわってもそこには何もない。
じゃあ僕は一体何からあなたを奪えばいいんですか?

うーん、奪うってことじゃないと思うんだよなあ。
夫と死別した後に再婚するとして、それは夫から奪われたってことなんでしょうか。*1
私は違うと思います。

これに対する素晴らしい答えは、『めぞん一刻』の中で五代さんが出していて、私はこのシーンが大好きです。
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まとめ

観直すとジワジワくる回でした。
1話で仕掛けていた伏線をけっこう回収しています。

特筆すべきは「不可逆」問題でしょう。
1話での唐揚げレモン問題から始まるアレです。
一般的に時間は不可逆だと考えられています。
未来から過去に戻ることは出来ません。
「宝くじがもし当たってたら」と唐揚げレモン問題を提起した諭高が言う面白さ。矛盾。
司が生まれ年である1984年のワインを空けるのもとても上手いです。
私たち、生まれた瞬間から"酸化"が始まり、もう元には戻れないんです。

そして、冒頭から何度も出てきた「ゴミ袋」です。
「ゴミ袋」は捨てられない過去や選択されなかった未来を表しています。
カルテットメンバーでゴミを捨てられるのは司だけです。
司は2話で結衣との関係をきっぱりと終わらせ、過去や未来に誠実な状態にあるからです*2
真紀やすずめがなぜゴミを捨てられないのかは、1話、3話を見ていれば明らかです。

諭高の選択されなかった未来は「家族と暮らすこと」です。
一度自分の手で捨ててしまっているからです。
その未来を取り戻したいのであれば、それが腐る前、回収される前にSTOPをかけなければいけませんでした。
それが出来なかったのであれば、(横須賀ストーリー風にいうと)「もうこれっきり」なんです。

諭高はバイオリンを壊そう(=未来を捨てる)としますが、茶馬子が阻止します。
それは「家族と暮らす」という未来ではなくて、「音楽と暮らす」という未来を選んだ諭高への強い肯定です。
その未来はゴミにしてはいけないよ、と。
茶馬子が好きになった諭高は(諭高本人も言っていた通り)音楽をしている諭高であるからです。
アジフライにウスターソースをかける諭高であるからです。
「偉い」とか「モテる」とかそういうもののために生きているんじゃないんです。

諭高と茶馬子の間に引かれた平行線は『最高の離婚』でも描かれていた平行線でもあります。
一番つらいのは交わることがないとわかっていながら、好きという気持ちを持ってしまうことです。

いやー、素晴らしい出来ですね。
並木演出だとどうなったんだろう、とも思いますが、それは選択されなかった未来なので考えません笑
次回で1部終わりとのことですが、あまりいい響きじゃないですね...。*3
しかし、楽しみです。

★カルテット各話感想

*1:生き死には関係ないけど

*2:と、本人は思っている

*3:いつ恋の例があるので