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【ドラマ】いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう 第10話 感想

ドラマ

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前回の感想はコチラ。

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ハイライト

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音(有村架純)のことを聞き、朝陽(西島隆弘)達は続々と病院に集まってきます。

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「気付いてた?最近小夏ちゃん、ヘリコプターの音とか聞いても怖がらなくなった。」
小夏(森川葵)を変えたのは、9話での晴太(坂口健太郎)の行動であり、
練(高良健吾)の「小夏はちゃんと自分の道見つけっと思いますよ」という言葉です。

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練がタクシーに。
2部始めの練はタクシーに乗っていましたが、
3話でも5話でも練はタクシーに乗ることを選んできませんでした。

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医師から告げられる「びまん性軸索損傷」という症状。
記憶障害を伴う可能性があります。
別にこれを説明する必要はなかったわけで。
軽い脳震盪が起きただけでも、話的には問題ないじゃないですか。

おそらく坂元裕二の中で、音を記憶喪失にさせるというプロットがあって、その名残なのかなあと思います。
ずっとじゃなくて、ある一部の期間(5年とか)の記憶を失うみたいな。
悩んだだろうけど、出来なかったんでしょうね。
脚本家として出来なかったというより、音がそうしてくれなかったというべきかな。

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朝陽もケガをさせた人たちと同じで、明日香(芳根京子)の話を聞こうとしません。

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ここは朝陽との対比です。
練は明日香の話に耳を傾けます。
明日香は過去の音です。
練はいつだって話を聴いてくれました。

その前の
「杉原さんはほっとかない。通り過ぎたりしない。」
というセリフも深みがあって、沁みます。

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音の母の想いを知る朝陽。
そして、もう一枚の手紙は9話で予想した通り、音から音の母に向けての手紙でした。

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木穂子(高畑充希)がちゃんと練の行動に気付いていてよいですね。
音が朝陽を選んだことを聞いてしまった練は、
音の近くにいる役割は朝陽に任せて、明日香とともに交番に向かいます。

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朝陽から音に別れを告げます。
一番の要因は音の母の手紙を読んだからだと思います。
やはりキーワードは「心から心へと残す」ということで、
音の母が音に託した思いが、手紙を通じて朝陽にもつながったということです。
そもそも練が音にこの手紙を届けたのも、練自身がこの手紙を読んだからで、
1話からずっと"想いのリレー"が描かれ続けてきました。

「僕はもう君のこと好きじゃない」
朝陽が言った言葉はもちろん嘘だけれど、
5年前の朝陽の口癖であった"嘘のない生き方"でもあるわけです。
ここで嘘を言うことが、朝陽にとって嘘のない生き方になる...。

「大切に思う人に順番なんてつけられないんだから。」
このセリフは9話以外に、5話ともリンクしているのかもしれません。
木穂子が好きだと主張する練に、小夏が「何番目に?」と問い詰めるシーンです。
そこで練は黙ってしまいます。
私は嘘でもいいから1番って言ってあげればいいのに〜って思ってましたが、
練が答えなかった理由はこれと同じだった?

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9話での泣き方がわからない〜や、晴太の好きって不自然〜
っていうくだりは、この超短期的伏線回収のためにあったわけですね。
さすがにここはフォローしきれないぐらいのオイオイ感があるのですが、
キュンキュンしないと死んでしまう人々*1に手向けたシーンということにしときましょう。

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8話の感想で書いたような展開となりました。
「プリティ・ウーマン」をなぞってきましたね〜。

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プロポーズをポン酢感覚でOKする木穂子。
手紙・メール・レシートなどで思いを伝えるといった描写が顕著なので、そこに乗っかってる感じですかね。
小夏のシーンはないほうがよかったですが、このシーンはどちらかといえばなくてよかったぐらいの感覚です。

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佐引さん(高橋一生)のお弁当にはハートが!!
うわー佐引さんにもいい人見つかったのね〜。
なんて思うと思いますか?
さすがにここまで続けられると、不快感を覚えます。
不必要な幸せを描くことは、不必要な悪を描くことと同じくらい意味のないものだと思います。

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お母さんへ
お母さんに手紙を書くのは何年ぶりかな?
久しぶり。お母さん。
音は27歳になりました。
とっても元気にしています。
音は今なんと東京に住んでる。
雪が谷大塚という坂の多い街で、1階にラーメン屋さんのあるアパート。
今はずっと介護の仕事をしています。
立派な資格も持ってるんですよ。
休みくれとかもっと給料くれとか思う。
大変は大変。
でもありがとうと言われると、頑張ってよかったなって思える。
努力って時々報われる。
お金はたまらない。
でも私には足りてる。
ちょっとのいいことがあれば、夜寝るときに思い出せる。
優しい気持ちになれる。

寝て起きたら次の日が来る。
私には思い出が足りてる。
坂の上に立つとね、東京の夜の街が見渡せるの。
そこで会ったことのない人のことを想像するのが好きです。
今あの鉄塔の下で女の子がマフラーを落とした。
パン屋の男の子が拾ってあげた。
ありがとう。気を付けて。
深夜の街を走り抜けていくバス。
後ろから3番目の座席に座った引っ越し屋さんと介護福祉士さん。
お疲れ様でした。お疲れ様でした。
この街にはたくさんの人たちが住んでるよ。

時々、思うの。
世の中って、綺麗なものなのかな?怖いものなのかな?
混ざってるのかなって思った。
だから、綺麗なものは探さないと見つからない。
そんなことを教えてくれた人がいた。
1人で見る景色と2人で見る景色は、全然違ってたよ。

お母さんにお願いがあるの。
私の恋をしまっておいてください。
私ね、お母さんが言う通り、好きな人と出会えたよ。
ちゃんと恋をしたよ。
6歳の私に教えてあげたい。
あなたはいつか1人じゃなくなるよ。
その人はトラックに乗って現れる。
トラックの荷台にはたくさんの桃の缶詰が積んであって、
飴をひとつあげると、ばりばりとかんで食べる。
恋をすると楽しかったことは2倍になるよ。
悲しかったことは半分になるよ。
それまで待っててね。
頑張って待っててねって。

この恋は私の大切な思い出です。
お母さん。どうかしまっておいてください。
大好きなお母さん。また手紙書くね。
じゃあね。

杉原音

恒例で書き起こしました。
練が街を見下ろすシーンがあるのは、「坂の上に立つとね、東京の夜の街が見渡せるの。」に被せてです。
音が作中で語っていない「休みくれとかもっと給料くれとか思う。大変は大変。」という人間らしさはいいですね。

音が手紙を破ったのは、北海道に行くと決心して、この気持ちを母の中にのみ残そうとしたということなのかな。
結局、物理的に残っていると音は母からの手紙のように、何回も読み返してしまいそうだしね。
練や朝陽のように読んだ人に"優しさ"が生まれてしまうことを防ぎたかったのかもしれません。
つまり、この時点では、愛するという気持ちを「音から音の母」に残しただけ。

9話で練が撮った花の写真を音に送ったことは明示されていませんが、
おそらく9話最後のケータイのバイブレーションはそのメールだったのでしょう。
そして、10話で音がその写真を見ているということは、音は留守番電話を聞いたということです。
音が手紙を書いたのは、留守番電話を聞く前のことだけれど、
「1人で見る景色と2人で見る景色は、全然違ってたよ。」という文章から分かるように、
練が留守番電話に残していた気持ちと変わらないわけです。

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音が退職したと聞き、練は音のアパートを訪れます。
もぬけの殻となっていた音の部屋をみて、練は音に電話をかけます。

音「なんも変わってへん。道も駅もファミレスも。全部そのままや。」
練「俺、まだ返事もらってません。」

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練と再会した音はぶっきらぼうな態度をとります。
東京で起きたこと、特に練とのことは、手紙を破った時に、音の中に残さないようにしたからです。

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関西弁が出て、本音が漏れ始める音。
「好きやで、好きなんやわ。それはほんまに。」

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「これで安心して、振り出し戻れるわ。」
そう発言した直後に出てくるトマトソースのハンバーグ。
これがもう本当に最高です。

練は「運いいですね。」と言ったけれど、これは運が良かったからではないと思っています。
この店員さんは1話と同じ店員さんです。*2


先ほど「なんも変わってへん。道も駅もファミレスも。全部そのままや。」と音は言いました。
でも、そんなことはありません。
この店員さんは音のこと、練のこと、ちゃんと覚えていました。
心に残していました。
これは願望かもしれないけれど、私はそう信じています。

音は東京で手紙を破ることで、東京の思い出を母の中にのみ残そうとしました。
でも、音自身がしようとしていたことは"しまう"ことじゃなくて、"捨てる"ことです。
音自身も出来なかったように、そんなことは出来ません。
ぽつりぽつりと溢れ出てきてしまうからです。

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「人が頑張ったのって、頑張って生きたのって目に見えないかもしれないけど、心に残るんだと思います。」
練も言っているように、北海道は"振り出し"の地ではありません。
林田音だけの地でもありません。
音は今まで生きてきた想い、過去の自分と一緒に、これからも生きてゆくのです。

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"道"があって、2人をつなぐ乗物があって。
練が音に会いにいくのは、トラックでもいい、新幹線でもいい、飛行機でもいい。
なんだっていいんです。
大事なのは何に乗るかじゃない。(練はタクシーに乗らないわけじゃない)
音に会いにいくとき、練は音のことを考えています。
練に会いに行くとき、音は練のことを考えています。
そんな風景、そんな日常があるということ。

まとめ

10話の前半はちょっとガッカリな展開でしたが、後半のファミレスのシーンは絶品でした。
個人的に、今作で一番好きなシーンです。

音、練、朝陽、木穂子、小夏は基本的に描き込みも良かったと思います。
朝陽は9話までは消化不良気味でしたが、10話では9話でいったことを取り消していたので、救われました。
晴太の吐露は遅すぎました。
過去を話すならば、7話あたりでしょうか。
今回のシーンを使うなら、10話で小夏に初めて好きと伝えるほうが、個人的には好きです。

練と音はいいカップルだと思います。
彼らを見てると、Motherの最終回の1シーンを思い出します。
娘(奈緒)が実母(葉菜・うっかりさん)に昔話を聞くというシーンです。

奈緒「ねえ、今度、お母さんと旅してた話、聞きたいな。」
葉菜「...3日かかるわ。」
奈緒「...3日聞くよ。」

練も音の話が何日かかっても聞いてくれるでしょう。


7話のラストシーンは村瀬プロデューサーからの加筆要請があって、生まれた場面とのことでした。
個人的にはとてもよい判断だったと思います。
音はお母さんとともに生きているし、練はじいちゃんとともに生きている。
ともに生きていながら、命は続いている。

私の中に残ったもの

ドラマをちゃんと見ることは体力がいるし、感想を書くことはもっと体力がいります。
それでも、ここまで感想を書けてこられたのは、坂元裕二を信頼しているからです。
感想を観てくれたり、コメントをいただいたり、そういったことももちろん嬉しいですが、
それだけのために書くようになりたくないなとも思います。

作品を観直していると、ハッとすることがあります。
このシーンはこういう意味だったのか、と。
これって想像力を取り戻すことに似ているのかもしれません。

物語を楽しむってなんなのだろうと最近考えていました。
私は物語を線で追うので、辻褄が合っているとか、伏線回収とか、そういったことを意識しながら観ています。
そして、観終わった後、「これは及第点だな」とか思ってしまいます。
でも、そういう楽しみ方がしたかったんだろうか。
私のしたいことは採点なんだろうか。
作り手の人は、自分の作品に点をつけて欲しいと思って作品を作るのだろうか。

映像でも音楽でも書籍でも、作品を作るということは、観聴きする人間の心に想いを残すことです。
それは1人1人の中に宿るものであって、視聴率やオリコンといった数字には現れません。 *3
後になっても語られるものが素晴らしいものなんだと思います。
人の中に何かを残すってすごいことだなと、いつ恋を観て思わされました。

今回の感想は、『問題のあるレストラン』での感想集に比べ、かなり丁寧に書きました。
私の感じたシーンの意図を細かく挙げることに、意味があると思ったからです。
それは間違っていなかったと思います。*4
私たち、観る側も心に残す作業の一端を担っているんですね。
たかが感想ごときと思うかもしれませんが。
気負っているわけではありませんし、私の解釈が100%正しいとも思っていません。
もちろん不満もいうし、あーしたほうがいい、こーしたほうがいいとも言うけれども。
でも、そんなことを感じました。

この作品から坂元裕二を知ったという方は、ぜひ他作品も観てみてください。 *5

また感想を書きたくなるような面白いドラマに出会えることを楽しみにしています。
ここまで読んでいただいた方、ありがとうございました。



明日への手紙

明日への手紙



★いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう各話感想



*1:キュン死にピーポー

*2:ここに気付けるのは、視聴者の特権

*3:視聴率やオリコンが無駄という話ではなく、必要な人も当然いると思います。

*4:大変は大変

*5:オススメは、『Mother』、『それでも、生きてゆく』、『最高の離婚』の3本です。

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