前回の感想はコチラ。
第8話あらすじ(フジテレビより引用)
音(有村架純)のアパートに木穂子(高畑充希)がやってくる。
木穂子は、いま恋人からプロポーズされるのを待っているのだという。
以前、一度プロポーズされたが忙しくてスルーしてしまったらしい。
木穂子は、プロポーズされたら何も考えないでOKしなければいけない、と音にアドバイスする。
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ハイライト
木穂子(高畑充希)の「恋は衣食住」の解説からスタート。
食は心の栄養なんですねー、たしかにしっくりくる。
この言葉はブログでも何度か解釈をとりあげてきたんですが、2話の感想で書いたものとほぼ同じだったのね。
4話で書いた"日陰木穂子"ではなく、"日向木穂子"として衣食住する場を作るという解釈もけっこう好きだけどなあ。。
ただ、このシーンは「恋は衣食住」の答え合わせではなくて、木穂子が変わってないことを暗に表しているシーンです。
飲んでるビールも木穂子が3話で買ってたビールと同じものです。*1
5年という歳月が経ちましたが、変わったものと変わらないものを浮き彫りにしていきます。
プロポーズをポン酢感覚でOKするというのも軽妙でいいですね。
坂元裕二お得意の「2人は離れていても~」的な描き方。
柿谷運送で再び働く練(高良健吾)。
ついに「引越し屋さん」に戻ることが出来ました。
そして、いつの間にか3人はリズムが合っています。
佐引(高橋一生)のウソも自分を誇示するためのウソじゃなくなってます。
嘉美(松田美由紀)から積立金をもらう練。
この積立というのは、2話で触れられていたところです。
練のおかえりパーティー&朋子(桜井ユキ)の結婚祝い。
5年という歳月の中で、音や練を取り囲む人々も大きく変わっています。
私たちはこの物語を約2か月という短いスパンの中で観ているので、変化を明白に感じ取ることが出来ます。
しかし、当人たちは?
試しに、自分の5年前を思い出してみてください。
そのときの自分の状況、生活、好きなもの、価値観、倫理観...。
どのくらい覚えているでしょうか。
今とずいぶん変わってしまったこともあると思います。
5年という時間は、人間を変えるには十分すぎる時間ということです。
私たちは環境や出来事によっていともたやすく真逆に変わってしまいます。
いわば本質、自分の核といったものも容易に変えることが出来てしまうのです。
そして、恐ろしいことに、変わったことに自覚がないケースも多々存在しています。
坂元裕二は是枝裕和との対談集「世界といまを考える 1」の中で、
「人物が視聴者に善人として受け入れられるのも悪人として受け入れられるのも、
結局僕のさじ加減で決まってしまうことにずっと違和感があった。」(P.356)
といっていました。
このシーンは、調和的な側面も併せ持っているのではないでしょうか。
なぜこんなにバスのシーンがよく出てくるか?
それは1話での音のセリフの裏付けです。
「好きな人っていたら見るんじゃなくて、見たらいるんだよね。」
「東京に戻ってきたのは小夏(森川葵)の夢を叶えるためなんで。」
こういうセリフを聞くと、いつも思い出してしまう言葉があります。
「自分のことでないと夢にしたらあかん、のっかったらダメや」
これはちはやふるに出てくる新という人物の言葉です。
練が小夏の夢を応援するのは(罪悪感もあって)良いと思いますが、
それとは別に、自分の夢も持ってほしいなあとも思います。
「いろいろ変わりました。大きいやつでいうと、プロポーズされてます。」
ぽつぽつと語り出す音(有村架純)。
練は5年の間であんなに変わってしまって"いた"のに、なぜか音はまるで変わっていないと思っています。
そこの温度感、すれ違いをうまく表現していますね。
音が作る"星"。
5話で音と朝陽(西島隆弘)は天体観測をしていましたね。
2話で朝陽は、
「(星の光と同じように)人の命や思いも長い時を超えてどこかへ届いていく」とも言っていました。
「手に入らないものばっかり欲しがって、人生失敗したよ」
「どうして私じゃダメなんだろ」
小夏って健気なんだよなあ。
例えば私みたいな人間だったら、PTSDっぽく見えるものは実は全部演技で、
そうすることで練がいろいろ世話を焼いてくれるとかそんな見方もしてしまうんですが、
小夏はそのタイプじゃないですもんね。
やっぱり練と同じでズルしないんだよなあ。
朝陽は園田さんのことを覚えていませんでした。
音が朝陽の良い一面を知ったのは、園田さんに病室で声をかける姿を見たからでした。
週刊誌にて医療ミスを糾弾する記事を書いていた朝陽が懐かしいですね。
征二郎(小日向文世)との食事会に参加する音。
朝陽が話したウソは簡単に見破られ、本当のことを話し始めます。
音が話すまでの間がなんともいいですね、絶妙です。
東京で働いたアルバイトを尋ねられ、ばつが悪そうにガソリンスタンドです。
と答える音もまたいいですね。
その後、征二郎が引き合いに出す映画が「プリティ・ウーマン」です。
資本家の主人公と売春婦のヒロインのラブストーリーです。
企業買収を目論む主人公というのもうまいことシンクロしていて、面白いですね。
物語では、最終的に企業買収はせず、友好策を採るわけです。
朝陽の目標が父親の会社を乗っ取って、企業買収をやめさせる展開になると、
おおっと思わされますが、それは感じさせませんね。。。
音の考える幸せと征二郎の考える幸せは違います。
そして、今や朝陽の考える幸せともずれています。
音の生きる世界に勝ち負けや序列は存在しません。
戻ってきた朝陽から伝えられる「あとは訴訟対策だけクリアすれば」という言葉。
これもまさに3話での週刊誌にリンクしている部分です。
朝陽が週刊誌に書いていたのは訴訟レポートでした。
起こす側から起こされる側へ、そういった変化が起きています。
「好きな人は、一番初めに思い浮かぶ人よ」
「わかんない...」
「誰かの誕生日やったん?」という音の質問に、
自分を指差す練。この指の角度がとてもキュート!!
桃の缶詰を発見する練。
桃の缶詰の位置は音が練のことをどれだけ心の深くにしまい込んでいるかということを表しています。
"好きなもの"を語り合うシーンはMotherにも出てきたシーンです。
今作はいろいろ過去作品を彷彿とさせるような場面、セリフが出てきましたが、Motherからは初登場だったかと思います。
「雪を踏む音」なんかはまんま同じですね。
フォークを落として手がぶつかってしまうシーンからは、問題のあるレストランを思い出しました。
終盤でお店からスプーンが落ちることをきっかけに、いろいろと歯車が動き始めるんですよね。
3等の物干し竿をいいですねと褒める練。
音の表情も相まっていいシーンです。
朝陽はそういうリアクションにはならないでしょう。
朝陽が悪いのではなく、人それぞれ違うんだから、それは当たり前なんです。
「最近ずっと杉原さんのこと、考えてました。」
「私もずっと曽田さんのこと、考えてた。」
なぜ火葬場で見た空の色の話をしたか?
それは1話の手紙です。
恋をして、そしていつか、たった1人の人に出逢えるといいね。
その人はきっと、あなたの質問に答えてくれる。
あなたの物語を聞いてくれる。
あなたが生まれたことを喜んでくれる。
あなたの物語を聞いてくれる。の部分はここで拾いました。
残る回収ポイントは2つ。
「質問に答えてくれる」というのは1話から言ってますが、マストで拾ってほしいところです。
それが全編を通して描かれている"思いが巡り廻ること"に繋がるからです。
まとめ
朝陽の変化は正直微妙ですが、次回なにかあるかもと期待して、まだ控えておきます。
修羅場、基本的に大好きなので、すごく楽しみです。
木穂子と練の触れ合いは2部ではまだなので、そこもワクワクですね。
ここから木穂子も絡めて泥沼恋愛物語化してもいいですが、9話でそれは収拾つかなくなりそうなので、やめてほしいです。
そうでもしないと、木穂子の話ってほぼ完結しちゃってるんですよね。
ラスト2話、待ち遠しい!!
毎回このブログを見てくださっている方もあと2話お付き合い願います。
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*1:あそこのシーンはここに活きてくるのか!!