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【ドラマ】いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう 第1話 感想

はじめに

坂元裕二が再び月9をやるということで、素直に喜びを感じています。
個人的には月9をやるよりも木10をやってくれたほうが有り難し*1なのですが、
書き下ろし作品をやってくれるというだけで御の字です。
「問題のあるレストラン」のときにもやっていましたが、毎話感想を書いていけたらと思っています。
前回同様、見てない人のためじゃなく、見た人への補足として書いていきます。
私がどういう視点でドラマを見ているか?といった点も強く紹介していけるよう頑張ります!!

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第1話あらすじ(フジテレビより引用)

幼いころに女手ひとつで育ててくれた母を亡くした杉原音(有村架純)は、育ての親である林田雅彦(柄本明)・知恵(大谷直子)夫妻のもと、北海道のさびれた町で暮らしていた。雅彦は音を家政婦扱いし、寝たきりになった知恵は音の介護がなければ暮らせない状態だった。音は、「あきらめること」を教え込まれてきたため、そんな状況をただただ受け入れて生きていた。


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ハイライト

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開始1分足らずで骨壷スタート!!
このぶっとび具合…!!

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練(高良健吾)の耳を引っ張る木穂子(高畑充希)
MITSUKI NO HOUGEN!!!

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高橋一成は金髪より黒髪のほうがいいなあ...貝原さん...

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晴太(坂口健太郎)がドロボウしたカバンを手に、練は一路北海道へ。
それは音の母から音へ宛てた手紙を目にしたからでした。
このシーン、近代ドラマ史に残る名作・それでも、生きてゆくのOPを彷彿とさせますね。
演出・並木道子さんっぽい感じ出まくってる!!

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音(有村架純)を探していると聞き、ネームプレートを裏返す音。
クリーニング店というのも坂元裕二作品にはよく出てきます。
最高の離婚の結夏やWomanの小春など。

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ダム建設運動反対の話。
音のいう「警報のサイレンが鳴って、みんな一斉に街から逃げ出していくの」は後のフラグ。

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音の"つっかえ棒"となっている手紙を練は捨てられないでいます。
手紙は普通、"心の支え"などと表現されることが多いですが、練は"つっかえ棒"と表現します。
音は義父・義母に恩義を感じて「林田音」として生き、「杉原音」としての自分を押し殺そうとしています。
しかし、この手紙は、音を完全に「林田音」としないために音の中でわずかながらの"つっかえ"をしているのです。

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義母が突然倒れ、たまたま通りかかった練に病院まで送ってもらった音。
帰り道に初めてのレストランに連れて行ってもらい、テンション上がってます。
「それいったら〜」の応酬のような、これぞ坂元裕二節というものが飛び出てきてよかったのですが、
気象観測部の保利くんの話のラストが特によかったです。

音:不思議だよね。好きな人っていたら見るんじゃなくて、見たらいるんだよね。例えば、教室の...。...うん。

音が話を止めてしまうのは、親が相手を決めるのではなく、
自分が相手を決める恋愛を肯定していることに話しながら気付いてしまうからです。
ここでも「杉原音」と「林田音」、2人の自己矛盾を描き続けます。
(今後も保利くんの話は出てくるかもしれませんが、姿は決して現さないのが坂元裕二作品の不文律です)

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ちゃっかり時計を返してもらっている婚約者(ヤスケン)。
練と2人でいるだけで尻軽呼ばわりとは...。

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怒った義父に骨壷の中身を捨てられてしまいます。
この骨壷というのは、先ほどの手紙と同様に音の"つっかえ棒"となっています。
"つっかえ棒"を失うということは、どちらかに大きく傾くということを暗示しています。

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ここでサイレン。
ダム建設運動反対の話はこのための布石です。
音は「警報のサイレンが鳴って、みんな一斉に街から逃げ出していくの」と言っていました。
この"みんな"に音は含まれず、東京に帰る練、大学進学のため札幌に行った保利くん、音の元を離れていったその他大勢の人のことを指しています。
音は生涯この土地に縛り続けられるということです。

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自身を見失いかけている音に、義母は「逃げなさい」と言います。
つまり、"みんな"側に回れということであり、
北海道に「林田音」を置いていき、これからは「杉原音」として生きろということです。
ダムからのこの流れは唸りますね、いい脚本。

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家を飛び出た音をスーパーボーイ・練は、またもやオロナミンCのCMもビックリの演出で、救います。
(手を引くシーンなら、最高の離婚第11話のシーンみたいなのがいいけどな...)
靴は?荷物は?と尋ねる練にいらん、何もいらんと返す音は、「杉原音」として1から生きていくことの強調です。
(音にもしっかり言葉で意思表示させるのはいいことです)

車内の会話で、実は音同様、練も両親が亡くなっていたことが分かります。
"つっかえ棒"という一般的でない表現が出てきたのは、同じ境遇を練も辿っているからです。
そして、音の母は満島ひかり。最高だ!!!!!!!

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すぐ戻ってくるからねと言っていたのに容赦なく消え去る練。
ここにきていきなりのあれれっていう展開です...
こういう場合のセオリーは、メモ書きを残して、最後に曽田練と名前を書いておくこと。
音はまだ練の本名を知らず、引っ越し屋さんと呼んでいるからです。
まあ、とりあえず、説明は来週に期待します!!!

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このシーンを見て、この作品はとても丁寧に作られているな〜と感心しました。
新聞は時間変化を表しています。(冒頭のシーンの新聞は麻生内閣でした)
音が水をやっている花は、音が北海道のスーパーで見ていた花、花を乱暴に扱う婚約者の姿からのつながりです。

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これも丁寧すぎる対比です。
北海道のクリーニング店で働いていた「林田音」と東京のガソリンスタンドで働く「杉原音」。

まとめ

上でも述べましたが、かなり丁寧に作られており、遊びのシーンが少ないです◎
坂元裕二が月9で木10をやろうとしているぞ、というのが一番強く感じた感想。
まさか冒頭から坂元裕二の伝家の宝刀・手紙が登場するとは...。
手紙はこれきりじゃないはずなので、期待期待。

練の感じは最初あんまり好きじゃなかったけど、すぐに慣れました。
問題のあるレストランのたま子は最後まで慣れなかったので、救い。
音の関西弁は違和感がまだ抜けません。
ただ、有村架純ってこんな冷たい目が出来るのかと思い、やや好印象。
柄本明・大谷直子もめちゃめちゃよかった。

1話としてはかなり好スタートなので、今後も楽しみ。
音楽もいいぞ!!得田さんナイス!!
数字を気にしないで、伸び伸びと書かせてあげる環境であってほしい。

最後に、音の母からの手紙を書き起こしておきます。

音へ

今、真夜中の2時を少し回ったところです。
今が最後のチャンスかも、そう思って病院の方に便箋とペンを借りました。
もうあまり上手に字が書けなくて、恥ずかしいけど。
便箋を光に透かすと、小さな花びらが浮かびます。
素敵でしょ?

音、お母さんはそろそろいなくなります。
あっという間だったね、時間が足りない。まだ何にもできてない。
まだ死ねない。
あなたを1人残してしまうの。

音、あなたを父親のいる子にしてあげられなかったこと、何度後悔しても足りません。
お母さんはもう髪を結んであげることもできません。
でも、お母さん、あなたを産んでよかったと思っています。

あなたはとても質問の多い子だった。
なんで水はぬれるの?
髪の毛はどんどん伸びるのに、なんで眉毛はちょうどで止まるの?
どうして寂しい気持ちはあるの?

あなたには絵本は必要なかった。
自分で作った物語を私に話して聞かせながら、眠りにつくから。

歩くのが早い私の後を、
大丈夫や!
そういってついてくる小さなあなたを見ていて、いつも思いました。
この子には人生を切り拓く強い力がある。

音、たくさんの人に出逢ってね。
自由に見て、自由に話して、好きなように生きて。
それはあなたが心に持って生まれた大切な宝物だと思う。

あなたはいつか学校に行って、友達を作るのかな。
中学生になって、高校生になって、誰かを好きになるのかな。
どんな恋をするんだろう。

恋をすると、嬉しいだけじゃなくて、切なくなったりするね。
きっと人が寂しいって気持ちを持っているのは、誰かと出逢うためなんだと思います。
時に人生は厳しいけど、恋をしてる時は忘れられる。

恋をして、そしていつか、たった1人の人に出逢えるといいね。
その人はきっと、あなたの質問に答えてくれる。
あなたの物語を聞いてくれる。
あなたが生まれたことを喜んでくれる。

ブドウの花はブドウの味がする、バナナの花はバナナの味がする。

愛するって心から心へと残していくことだと思う。
音が笑ってるとき、お母さんも笑ってる。
音が走ってるとき、お母さんも走ってる。

大好きな私の娘。大好きな音。
愛しています。
どうか幸せに。

母より

「その人はきっと、あなたの質問に答えてくれる。」というのは、覚えておかなければいけないポイントです。
音が最後に愛する人に質問をして終わる幕引きともなれば、美しいシナリオといえるでしょう。

ただ、その質問は、悲しい質問かもしれないけれど。
恋をすると、嬉しいだけじゃなくて、切なくなったりするね。

明日への手紙

明日への手紙



★いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう各話感想