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【ドラマ】それでも、生きてゆくを観た感想

問題のあるレストランの次回予告に風間俊介がぴょこっと顔を出したとき、来るかダークサイドと心躍らせた。
しかし、ふたを開けてみれば純朴で健気な好青年ではないか。非の打ち所がない。私はまったく満たされなかった。
そんなとき、hikoさんのこのエントリを読んだ。
最近の坂元裕二はテンポ重視で、最高の離婚とかウエディング・マッチもそうだけど、
ポンポコポンと台詞が出てくるだけに、いいなと思った。
(しかも風間俊介 played as 少年A!!)

「それでも、生きてゆく」は2011年放送で、ちょうどその時期、私はドラマから離れていたので見ていなかった。
問題のあるレストランが1話足りないんじゃないかって形で伏線を回収しきらないまま最終回を迎えてしまい、
少なからず渇きを覚えていた私は早速TSUTAYAに向かっていた。



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『なんで殺されたのか本当の理由を知りたい』
洋貴も洋貴の父(柄本明)も母(大竹しのぶ)も決まってこういった。
そして、加害者の妹・双葉(満島ひかり)もだ。
結局、人は理解したいのだ。
加害者、少年A・文哉(風間俊輔)が人間であることを。
理解できないものは怖い。
せめて理由をという心理。

少年Aと洋貴たちの溝はあまりにも深い。
11話、定食屋のシーンで洋貴と双葉は決定的に文哉と違うことを知る。
同じ人間のようで、究極的に分かり合えない。交わらないレール。
併走するレール上であれば、手を振りあえるが、文哉との距離は遠すぎた。

『更生して真っ当な人生を送ってほしい』
この言葉を使うことができるのは、レールが近い場合だけだ。



6話、大竹しのぶの本気をみた。
最近の大竹しのぶが発した言葉、
「緑のハミガキディープクリーン♪」
だけだったので、凄まじいギャップ。

8話はホントにつらかった。
これ以上、続きを見ることができないと思った。
精神を完全に持ってかれた。
一気に見てしまった弊害だった。
本放送時のように、続きは1週間後という時間的制約の中ならば、咀嚼することができたかもしれない。
今回は噛む時間すら与えられず、いきなり口に詰め込まれた。悶える。

あの子の歩む人生、やがて大人になり、自分の母親が植物状態となっていることを知ったとき。
そして、自分を世話してくれていた双葉が加害者の妹であることを知ったとき...。

10話。
五郎(小野武彦)は娘(真岐)の延命処置を自ら断る。
そしてそれを加害者の父・駿輔(時任三郎)に目をそらさず見ていろという。
このシーン、屈指のヤバさ。
同じく娘を持つ時任三郎だけになおさらだ。
人間が壊れる感じがした、唯一の救いは最終的には延命する道を選んだということ。
このまま死んでしまっていたら、駿輔はもうコッチには戻ってこれなかっただろう。

五郎は女児に狂ったまでの執着を見せる文哉を受け入れたが、最悪の形で裏切られてしまった。
これもレールの問題だろう。

人を殺すと「家族が巻き込まれる」
家族の心情は2つ。
①子供が申し訳ないことをした
②なんでこんなことをしたのか分からない
この思いを一生抱えさせて、家族の人生を奪うのはあまりに酷だ。
私が人を殺さない理由は上記のことに耐えられないからだ。
このドラマを通じて、時任三郎と風吹ジュンの姿を自身の両親に重ね、考えが間違っていないことを痛感した。

家族と自分の考え方はかけ離れている。
とどのつまり密度の濃い他人が家族だ。
そういう違いがある中で、ひとくくりにされて扱われてしまうのは申し訳なさが先に立つ。



劇中でも出てくるフランダースの犬だが、
原作のラストに印象的な言葉がある。

『この世に生きながらえるよりもふたりにとって死のほうが情け深かった。
愛には報いず、信じる心にはその信念の実現を見せようとはしない世界から、
死は忠実な愛をいだいたままの犬と、信じる清い心のままの少年と、この二つの生命を引取ったのである。』

「それでも、生きていく」のラストはまさにこれの対比と言える。
(原作のネロはアニメと違い自殺する)

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双葉は生の象徴だった。
加害者の妹として、世間、学校では恰好の的となり。
信じていた兄に裏切られ、挙句の果てにあのとき自分が死んでいれば亜季は死ななくてよかったと突き放され。
妹とは異母姉妹であることを終盤に告げられて。
それでもなお、双葉は生の象徴だった。

双葉と洋貴は被害者家族と加害者家族、そのレール上でお互い別々の道を歩む。
ふたりを繋ぐのは投函されない手紙。

『私たちは、被害者と加害者だけど、同じ乗り物に乗っているんです。だから、行き先を一緒に考えないと。』

行き着く先は生だった。

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