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【映画】白ゆき姫殺人事件をみた感想

「白ゆき姫殺人事件」をみたのでその感想。(ネタバレあり)

予告


あらすじ

長野県のしぐれ谷国立公園内で、化粧品会社のOL・三木典子が滅多刺しにされ燃やされた遺体となって発見される。テレビワイドショー『カベミミッ!』の制作を請け負う契約ディレクターの赤星雄治は、知人の狩野里沙子から三木殺害に関する情報を知らされると、その内容をツイートし始めTwitter上で注目される。赤星は狩野から三木に恨みがあるとされ、事件の日から失踪している同僚・城野美姫の存在を知る。評判の美人だった三木の事件は、いつしか勤務する会社の目玉商品になぞらえて「白ゆき姫殺人事件」とネット上で呼ばれるようになる。


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感想(原作は未読)

  • 城野美姫(井上真央)→地味役をやらせるにはキレイすぎる。*1
  • 三木典子(菜々緒)→ファーストクラスといい、こういう目の役多い。
    悪女やらせたら日本一と本人が言っている通り、上手く演じられるので問題はなし。
  • 前谷みのり(谷村美月)→個人的に好き。

≪テーマ≫
一見ミステリーに見えるものの、本格ミステリーからは遠く、推理要素はあくまでもテーマを伝えるための一要素に過ぎない。
テーマは「炎上、報道被害」を挙げているけど、本質的なテーマは「無自覚、無責任的な印象判断」かな。
『人は見た目が9割』という言葉にもある通り、人間は視覚から多くの情報を得て、本能的に判断する。
美人には幸せで明るいイメージ、ブスには不幸せで暗いイメージがまとわりつく。
実際どうかは差し置いて、イメージが先行する。
美人がブスを殺すことは想像しにくいが、ブスが美人を殺すことは想像しやすい。
それは、自分の理解できる範囲で物事を置き換えてしまうから。

結局のところ、こじつけだとしても、自分が理解できるのならば、それは事実であろうとなかろうと納得に変わる。
それをストーリー性と言い換えてもいい。
そういった無自覚さ、無責任さによる恐怖がよくあらわされていたように思う。

≪ストーリー・演出≫
ミステリー要素を抜いて考えると、全体的に可もなく不可もなくといった出来。
前半部分は各証言者が"主観"で出来事を語っていくが、同じシーンでも証言者によってセリフや行動、服装が若干違ったりするのが面白い。
この点、映像化ならではの利点っぽい。

話の転換は、夕子から一通り美姫に対する話を聞いた後の
「自分の話は本当だと思うか?人の記憶は簡単に捏造される。都合のいいようにしか人は語らない。」という言葉。
前述の通り、セリフや行動、服装等からこの辺は汲み取れちゃうので、ここまでで気付かなかった人への救済になっている。

気になるのは江藤慎吾(大東駿介)がケガしたとき、病院にお見舞いにいく妄想しか描かれていないこと。
実際に行って門前払いされるとか美姫の顔を見た瞬間に慎吾が怯え出すとかでトラウマを受けるとかいったシーンがあると、
谷村夕子(貫地谷しほり)とのエピソードが対比としてよりきれいに締まると思う。*2

≪ミステリー≫
すべてが偶然の連続なのがつらい。
偶然と思いきやそれは犯人によって仕組まれた必然だった!!!みたいなことがない。
そっちのほうがキレイではあるけど、たしかに難しいよね。

どうやって殺したかっていうところも、世間の想定では『美姫が典子を殺したあとに、駅近のコインパーキングにとめて電車に乗って逃げる』っていう流れだけど、
実際は『美姫が車を駅近のコインパーキングにとめて電車に乗ったあとに、里沙子がコインパーキングにとめた車に乗り、殺害現場に向かう』という流れ。
当然、疑問点が。

  • なんで里沙子が車のカギを持ってる?どういう理由で貸りるの?
  • コインパーキングの出庫時間調べれば、美姫が電車に乗ったあとに出庫してることわかりません?

そもそもこのお話で警察が出てくるのは最後の狩野里沙子の供述だけだったりする。
ここらへんもミステリーを否定しているといえそう。

まとめ

推理目的でみると間違いなく外れ。やめておいたほうがいい。
湊かなえ特有の「人間の闇」を描いている作品ではあるけど、監督との相性からかどうもぬるくて微妙。*3
モヤッとした気持ちが残る出来でした。

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*1:多部未華子起用すると世界は平和!!!

*2:どうやら最後の明りでメッセージを送るシーンは映画オリジナルっぽいね。このシーンがなかったら、実際に病院にお見舞いにいくところはたしかにいらないわ

*3:「告白」という極上の復讐劇、最高なので見ましょう